佐藤 龍彦 鈴鹿8時間耐久レース参戦など、華々しい経歴を持っている!
◎アドレスV125レース について佐藤選手の考察。 「FN4」クラス 使用パーツ及びセッティングについて公開いたします。
レースというのは、サーキット場で様々な条件のもとに勝敗を決する競技の事です。
条件の中には、車両の排気量や、サイズ、改造範囲などがあります。
もちろん参加者は、各々のベストを尽くしあうのですが、ベストを尽くすにも様々な環境が必要となります。
環境の中でも大きなウエイトを占めるのがコストと時間です。
初心者にはココが大きな壁となり、せっかくレースというものに興味を持って、情熱が湧いてもここを越えられずにレース経験をしないでしまう方を多く見てきました。
ここで、お勧めするのが、ミニバイクレースです。 大きい車両に比べると、車両の支度金、タイヤなどの消耗品や、サーキットの走行料及びレースエントリー費などが安く済むうえに、ミニバイク専用コースであれば、赴くのに多くの時間を要しません。
その、ミニバイクレースの中でも更に、アドレスV125やシグナスXなどで参加が出来る、スクーターレースのさらに、改造範囲も極端に制限されているクラスが設定されているため、世の中のバイクレースの中で、一番入りやすいのです!
一番参加しやすい、アドレスV125レース「FN4」
FN4とは、改造範囲が極端に少ない、初心者やリターンライダー等の入門者にピッタリなレースです。
ノーマルから、カスタムして良いのは、タイヤ、リヤサスペンション、オイル類、ブレーキパット、ブレーキシュー、ウエイトローラー、ブレーキホース、プーリーボス、プーリーボスワッシャーのみ。 その他は、無加工を条件に、同メーカー・同排気量のパーツの一部の流用や、シートの形状を体格などに合わせて少々加工ができます。
つらつらと書きましたが、車輌購入代金以外にパーツ類に5万円(工賃は別)ほどかければ、一流ライダーと肩を並べることができる状態になります。
他のレースでは、改造範囲が多岐にわたる場合があるために、一流ライダーに肩を並べるためには、相当な練習量と、10万円などでは到底収まらない資金が必要となりますので、参加のしやすさは群を抜いています。
ここまでのところで、自分にもできそうだ!と、お思いの方は、そのまま読み進めてください。 ここから先は、アドレスV125「FN4」クラスでサーキットを走行するのに必要なデータです。
タイヤ・・・各社様々なハイグリップタイプがありますが、IRC社製のMBR740というものがベスト。 初心者から上級者まで、扱いやすい特性となっており、グリップ力、寿命、価格などのバランスが非常に良い。
フロント IRC社製 MBR740 サイズ3.00-10 タイヤ空気圧 温間時 1.3kPa/cm2前後
リヤ IRC社製 MBR740 summer SP サイズ3.50-10 タイヤ空気圧 温間時 1.6kPa/cm2前後
リヤサスペンション・・・こちらも、各社さまざまなリヤショックがある中、価格帯、性能ともに、非常にバランスが良い油漢 リヤショック spec-Rが最適。 これで、十分なライダーは、もっと安いサスをチョイスすることができるし、不足ならば、高価なサスペンションをチョイスするといった形で審査基準として利用することもできる。 たたき台にはちょうど良いサスペンションに設定されている。
油漢 リヤショック スペックR 付属のヒップアップアダプターとサスについている車高調整機能を使い、トータル380mmで設定
スプリングイニシャルを30mm、減衰をMAXから7段戻しに調整。 この時、残ストロークは5mmが望ましい。
ウエイトローラー・・・こちらは、変速回転を7500rpm前後になるように調整すること 13g×3+8g×3=63g
シート・・・自身の体格や乗車姿勢にあった形状にローダウンする。
これで、アドレスV125でサーキット走行を体験するのみならず、レースにも参戦できます。
改造が好きな方は、上記仕様にマフラー改造まで認められたレースや、排気量制限のないレースまで沢山ありますので、そちらで楽しむことができます。
上記で分からない事や、できない事、または、サーキット場、レースのエントリーの仕方など、とにかく疑問があれば、まずはUKspeedへご相談ください。
監修 佐藤 龍彦 ライダー体重73kg
◎シグナスXレース について高橋選手の考察。 「FP4-ST」クラス 使用パーツ及びセッティングについて公開いたします。
◆FP4-STクラス解説◆
お金をあまりかけずに、誰でも手軽にレースを楽しむことを目的として作られました。
このクラスの元となったFP4クラスは改造範囲が広く、一定以上の整備知識と膨大な資金力が必要であった為に衰退。JOGやDioといった2st50ccが活躍し、人気があったFN(ノーマルスクーター)クラスも、ノーマルにも関わらずシビアな整備と組み立て技術が必要なことから、初心者向きとは言い難く、排ガス規制による車種の廃番に伴い衰退し始めました。そんな状況から取って替わるように流行り始めたのがFP4-STクラスです。
改造範囲はタイヤ、リヤサスペンション、ブレーキパッド・シュー・ホース、オイル類、マフラー、ウエイトローラー、ボスワッシャ、純正駆動系部品の流用など。
基本は消耗部品を純正品より社外品の上級なものに交換するといった感じでしょうか?
一般に街乗り車両を改造する感覚とほぼ同じです。
また、部品の消耗が緩やかで交換サイクルが長い為にお財布にやさしくなっています。
◆バイクの作りかた◆
FP4-STを代表するバイクとして、「シグナスX」を例に上げて特徴と問題点を解説。
【車体】
剛性の高いフレームと足回り、12インチタイヤが合わさって安定感がある。
制動力が不足している。フルブレーキング時にフロントフォークが底付く。コーナリング中にリヤサスペンションの粘りがない。
【エンジン】
特性は高回転型、ぶん回してこそ力を発揮するが、ノーマルではさまざまな規制に合わせて出力を抑えている為に吹けあがりが悪く、加速がタルい。 高回転を多用するためオイル管理には気を付けたい。
上記の特徴と問題点を踏まえた上で、具体的にどう改善するかについて
バイクの基本3要素【走る】【止まる】【曲がる】と【その他】で簡単に解説。
【走る】マフラーの交換(エンジン出力、特に高回転域の伸びと吹けあがりを向上させる)
ウエイトローラーを軽くする(エンジン回転数が上がりやすく、よく回るように)
ボスワッシャの厚みを増やす(Vベルトのスタート位置変更、変速をローギヤ化)
【止まる】ブレーキパッドを交換(制動力の向上)
【曲がる】リヤサスペンションの交換(減衰調整が出来るものへ変更し、粘りのある足に)
フロントフォークのオイル交換、油面を上げる(番手の堅いオイルへ変更、粘りのある足にし、フルブレーキング時の底付きを防止)
【その他】エンジンオイル交換(エンジン保護の為、潤滑性能が高いものを選ぶ)
まずは、この辺りから改善が望ましい。
そこで、シグナスXで気軽に参戦できるレース「FP4-ST」の標準的なセッティングについて
FP4-STクラスのレギュレーションに合わせたレース車両を作成する場合、変更・交換が望ましい箇所 【純正品番・規定値】 交換部品→理由 を以下の車両を基準に紹介します。
※あくまで参考値ですので、ご本人のスタイルに応じてセッティングを変更してください。
[シグナスX 型式1YP 2014年式] (平成27年1月現在)
■エンジンオイル 【10W-40 交換時900ml OH時950ml】
潤滑性能の高いオイルに交換 →エンジン保護のため 交換サイクルは早めに
粘度が低いオイルに変更する オイル量を10~20%減らす
→エンジンの回転抵抗を減らす
■ギヤオイル 【交換時110ml OH時 130ml】
エンジンオイルと同じ(上記参照)
■プラグ 【NGK CR7E】
熱価を上げる イリジウムやレーシングプラグに交換 NGK8~9番 デンソー24~27番 →高回転(高温状態)で連続走行するため
■バッテリー 【YT7B-BS】
純正のまま、あるいはリチウムイオンバッテリーに交換 →大幅な軽量化
■フロント・リヤタイヤ
ハイグリップタイヤに交換
タイヤサイズ フロント100/90-12 49J リヤ120/80-12 55J
→以下の銘柄からお好みで
ブリジストン BT601SS
ダンロップ TT93GP KR337
マキシス MA-R1 MA-F1
■フロントフォーク 【G10 オイル量102ml】
粘度が高いオイルに変更 G15~20 →減衰力を上げる
油面を上げる +10~30mm →底付きを抑える
カラー・ワッシャの追加でイニシャルかける →1Gの調整
インナーチューブ突き出し(三又の削り加工が必要) +0~10mm
→キャスター角の変更
■リヤサスペンション 【サス長320mm】
サス長の長いもの、減衰調整ができるものに交換 サス長340mm±10mm
→バンク角を稼ぐため
■フロントブレーキパッド
シンタードメタル系パッドに交換 →制動力を上げる
■フロントブレーキホース
純正のまま、あるいはステンメッシュホースに交換 →ブレーキタッチの変更
■リヤブレーキシュー
純正のまま、あるいは社外シューに交換 →制動力を上げる
■リヤブレーキワイヤー
純正のまま、あるいは強化ワイヤーに交換 →ブレーキタッチの変更
■ウエイトローラー 【12g×6個】
コース、マフラーに合わせて変更 9g~10g×3個
→吹けあがり(加速)を良くする
おおまかなセッティング方法・・・9000rpm付近をパワーバンドの頂点に各サーキットストレートエンドで9500~9800rpmまで回してトップスピードを伸ばしていくようにセッティングする(最高回転数10000rpm超えないように)
■シムワッシャ 【0.35mm】
ワッシャを足す、あるいは交換してVベルトの変速タイミングを調整 1.8mmぐらいが限界 →純正の厚みでは加速力が弱いので、ローギヤ化させる
■クラッチスプリング
純正よりバネレートが堅い、他車種の純正スプリングをチョイスする
→高回転でクラッチミートさせる
■インジェクションコントローラー(サブコン)
ECUにサブコンを割り込ませる コース、マフラー、気温に合わせて燃料噴出量調整
→パワーバンドの8000rpmから9500rpmにかけてセッティングする
■シート
あんこ抜き
→サスペンションの動き・路面状況を感じ取りやすくするため、スポンジの厚みを薄くし、ストレートで体が伏せやすくなるように全体をフラットに成形する
■ステップ
滑り止めのプレート装着やテープの貼り付け
→乗車姿勢を安定させるため
◆最後になかなかうまく乗れないという人へ◆
私はまず、サスペンションやタイヤなどの足回りにこだわって、転倒しにくいバイク作りをすることが上達への近道だと思います。
転倒してケガをしたり、バイクが壊れてしまっては元も子もありませんよね。
どうしても、エンジンの速さに気がいってしまいがちですが、いくらエンジンが速くても、それを生かすコーナリングが出来なくては意味がありません。
バイクの醍醐味はコーナリングにあると思いませんか?
想像してみて下さい。「バイクをバンクさせて、膝を摺りながら転倒しそうなギリギリのところを操り、コーナーを曲がっていく楽しさを。」
安全に走ってこそのモータースポーツだと思います。
最高のサーキットライフを楽しみましょう!
UKspeedでは、そのお手伝いをさせていただいております。
ご興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせ下さい。
監修 高橋 寛治 ライダー体重57kg